日本における主なよもぎの種類と使い道

ヨモギが世界中でどのくらいの種類があるか、ご存知でしょうか?実は、ヨモギの仲間は世界におよそ500種存在し、日本には約40~45種が自生しているとされています。ヨモギはキク科ヨモギ属に分類される多年草で、日本全国に広く分布しています。

日本におけるヨモギの主な種類

カズザキヨモギ

本州から九州・小笠原に分布し、日本人の暮らしに最も身近なヨモギです。日本で暮らしに最も馴染み深いのが「カズザキヨモギ」と呼ばれる種類です。このヨモギは道ばたや河川敷、野山などでよく見かけるもので、草餅やよもぎ蒸しなどにも広く使われています。

ニシヨモギ

関東地方以西に分布しています。本州の関東以西から沖縄にかけて分布し、日当たりの良い道端や草地で見られる多年草です。さまざまな系統が存在しますが、特に葉が大きく、切れ込みが少ない系統が主に栽培されています。沖縄では方言で「フーチ(病気)」を癒す「バー(葉)」という意味で呼ばれ、薬草として家庭で広く利用されてきました。

オオヨモギ

近畿地方以北に分布しています。オオヨモギは「ヤマヨモギ」や「エゾヨモギ」とも呼ばれ、主にブナ帯を中心とした山地の草地に自生します。本州の近畿地方以東、北海道、南千島などに分布しているとされています。その名の通り草丈が高く、時には2メートルを超えることもあります。葉は大ぶりで、茎の中ほどに生える葉の長さは15~20センチに達します。

カワラヨモギ

本州をはじめ、朝鮮半島、中国、ネパールなどに広く分布し、河原や海岸の砂地、やや乾燥した原野などに生育する多年草です。全草を揉むと独特の香りが漂います。

この植物には利胆作用や消炎作用があり、黄疸、湿疹、蕁麻疹、口内炎、肝炎の予防や、胆道疾患や胆嚢炎などに用いられます。特に黄疸の特効薬として古くから知られており、漢方薬の「茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)」が代表的な処方として知られています。

イナムラヨモギ

神奈川県三浦半島で稀に見られる多年草で、ヨモギとユキヨモギの交雑種と考えられています。海岸の崖や礫地などにやや少ないながら生育し、高さは40~80cmほどです。

見た目はヨモギに似ていますが、全体に白い綿毛が多く、白っぽい印象を与えます。茎の中ほどの葉は楕円形で羽状に深く裂けており、その裂片はヨモギのものより幅が広いのが特徴です。和名は、鎌倉市稲村ヶ崎の海岸沿いで初めて発見されたことにちなんでいます。

ヨモギを採取するベストシーズン

ヨモギを集めるのに最適な時期は、5月から夏にかけての季節です。春先に見られるシルバーグリーンの若葉も草餅の香りづけやつなぎに用いられますが、薬用には5~7月の間に収穫するのが適しています。

ヨモギは成長とともにその香りが変化します。若い頃は青臭さが強めですが、時期が進むにつれ、ヨモギ独特の爽やかな香りが引き立ちます。この時期のヨモギは特に香りが豊かで、草餅にも最適です。

ヨモギの活用法と効能

収穫したヨモギは、日干しして乾燥させることで生薬「ガイヨウ」になります。ヨモギには収斂、止血、抗炎症、鎮痛、抗菌、血行促進といった効能があり、月経過多や生理痛、生理不順、神経痛、冷え性、風邪の症状を和らげる効果が期待されています。

さらに、ヨモギを煎じてお茶にしたり、オイルやアルコールに成分を抽出することで、食用のほかマッサージオイルや入浴剤といったスキンケア製品としても活用できます。

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